オリジナル手ぬぐい制作 神野織物「和」日記

神野織物代表 神野哲郎のオリジナル手ぬぐいについて綴るブログ

今治と泉州・・・それぞれのタオル製作方法と特徴


タオルは何の目的で作られた物なのか?
それは言うまでもなく、汗や水分をふき取るためです。
もしタオルにこの機能がなかったとしたら、それはただの布キレにしかすぎません。

神野織物はオリジナルタオルに力を入れてはいますが、本質的にはタオル屋なのでここのところ大切にしています。

このタオルの吸水性なのですが、どういう仕組みになっているのか簡単に説明してみましょう。

タオルの仕組み

元々タオルの生地に使われる綿糸は原料の段階では「生成り」色をしており、そのまま織機にかけると、織機は糸を引っ張りながら織っていくので、すぐ切れてしまいます。そこで切れないように「のり」をシッカリ付けて織り上げていくのですが、この方法では生成り色のままでタオルが出来上がるので、織り上げたあとに白くなる加工を施します。

これを後晒しタオルと言います。

生成りのまま織り上げてタオルの形として出来上がった物を後で染工場で綺麗に白く晒すので「あとさらし」と言います。
一般的に大阪の泉州地区で作られるタオルがこの後晒しタオルとなります。

もう1つの方法として、綿糸の段階で白くなる加工を先にやってしまうというのがあります。こちらもその白い糸の状態ではもろいため 織機にかけると
糸が切れてしまいます。そこでやはり「のり」をシッカリ付けて織り上げる方法をします。

これを先晒しタオルと言います。

これは綿糸の状態で先に綺麗に白く晒してから織機にセットしてタオルに織り上げる方法で、「さきさらし」と言います。
こちらはもうひとつの産地四国の今治で生産されてます。「今治タオル」(いまばりタオル)もこの作り方になります。

実はタオルの吸水性の問題は、この「のり」によるものです。

一つ目に紹介した「あとさらしタオル」は、白さを後から出さないといけないので、よく「洗い」=「漂白」をして製品に仕上げます。
「洗い」をかけると、同時に「のり」が取れるので「よく水を吸うタオル」になります。

二つ目に紹介した「さきさらしタオル」でも、製品として出来上がった後にもう一度「洗い」をかけてのりを落とせば「よく水を吸うタオル」になるのですが、単価・納期によってはこの工程を省く事があります。

先に晒していますので見た感じは綺麗なタオルに仕上がっていますが「糊」が綿糸に付いたままなので水をはじくようなタオルに仕上がります。
その場合は、「水を吸わないタオル」になってしまいます。

※市場に出回っている「今治タオル」は、今治タオル工業組合がきっちりとした指標を作り、製品ごとの検査をしてネームを発行していますので間違いありません。

またどちらの場合でも切れやすい粗悪な糸を使用すると大量にのりをつけなければ織り上げることができないため、のりが残りやすく、水を吸わないタオルになります。
この場合でも何度か洗濯して使用していれば、水を吸うタオルになりますが、当然生地は痛みますし、色落ちもしてしまいます。

綿糸の価格も、繊維長の短い粗悪な綿の場合は安いのですがこういった弊害も有るのです。
価格だけで判断するとこういった事も起こります。
長持ちするいつまでも手触りの良い型くずれしないタオルは良い綿糸を使いきっちりと設計されているものです。

最近では100円ショップを中心に安いタオルが出回っていますが、そのからくりはこのような糸を使って織り上げることで成りたっているケースが多く見受けられます。
「安い」ということは悪いことではありませんが、その裏側にあることも知っておいて損はないとは思います。

タオルの歴史

西暦1800年ごろヨーロッパで発明された織り方だと言われています。
平地の布の表面に糸を長く出して織る織り方をテリー織りといい、この生地の事をタオルと呼びました。
このテリー織りのような生地は、エジプトのお墓から発見されており歴史のある織り方です。

日本にタオルが入ってきたのが明治初期。初めてイギリスから輸入されて来ました。まだまだ高価ですぐに庶民が使えるような物ではなかったようです。

そのころ日本では、手ぬぐいが主流です。手ぬぐいは銭湯では体を洗ったり 湯上りにはバスタオルの代わりのように体を拭いたりしていました。

手ぬぐいは体を洗うには良いですが、湯上りに体を拭くときには沢山水分を吸水することが出来るタオル地の方が適しています。
昔の人は手ぬぐいを絞りながら体を拭いていたのでしょうね(笑)

その後、明治20年頃革新的なタオル織機の発明があり、日本中にタオルが広まっていきました。
タオルの使い勝手の良さが全国に広まって行ったのです。

今治のタオル工場名は「〇〇タオル工場」という名前が多いのですが「〇〇テリー」という名前の工場も沢山あります。これは織り方の名残だと思います。

二大産地によるタオルの違い

タオルの日本での産地は「今治タオル」と「泉州タオル」が二大産地と言われています。※三河地区も産地として存在します。

産地によって織り方などの製造工程に差があるのでそれぞれ説明していきます。

泉州タオルの作り方

泉州タオルは、晒していない糸(生成り色の糸)を織り上げてタオルにしていきます。織り上げてすぐの出来立てのタオルは、生成り色(白とはほど遠い色)をしています。

この後、このタオルを晒して白くします。
※晒すとは大雑把に言うと、漂白剤を使って綿糸に付着している油分や綿の殻を取り除く工程です。

泉州タオルの特徴

最後にこの「晒す」工程を通します。これを最後に晒すので「後晒し」と言います。これが泉州タオルの最大の特徴です。
最後に「晒す」ので油分や糸に付着している不純物が綺麗に取り除かれます。

また、一般的な泉州タオル今治タオルと比べると柔らく作られることが多いです。タオルは横糸と経糸とパイルで作られています。この経糸の本数が今治タオルより少なく設計しているので、手触りはふっくらと柔らかく仕上がります。。
※タオルのイラスト挿入

後晒し」で作られる泉州タオルは吸水性が良く清潔だと言われています。
しかし、今治タオルも現在では最後に洗う工程を通すものが多く泉州タオルだけが清潔・柔らかいわけではありません。

今治産タオルの作り方

今治で作られるタオルは、糸の段階で晒して(漂白して)不純物や油を取り除いた糸を織機にセットして作ります。織り上ってきたタオルは、泉州タオルのように生成りではなく、真っ白の状態で出来上がります。

これが泉州タオルとの大きな違いです。

今治産タオルの特徴

真っ白な状態で出来上がってきたタオルは、泉州タオルよりプリントされることが多いようです。
これは、一般的に泉州産のタオルより今治産のタオルは糸の密度が高く、綺麗にプリント出来るからです。

プリントをするのに、前段階でシャーリング加工(表面がデコボコしているパイル地のタオルを、タオル表面を均一に糸を揃える加工の事を言います。)をタオルに施します。
この加工をすることで、プリントが綺麗に出来るようになります。

タオルの密度がしっかりしているので、シャーリング加工してもタオルの型崩れが少なく、今治産のタオルがオリジナルタオルに適しているのが解ります。

今治タオルをよく見かけるところ 活躍場所

弊社の扱いから考えると、ライブ会場等、物販で販売されているタオルのほとんどが今治産タオルと思います。お店で販売されていて表面がビロードのようにペタッとしたタオルでプリントされていれば今治産タオルの可能性が高いです。

今治産のプリントタオルは、染料プリントが多く吸水性抜群です。
顔料プリントでは「今治タオル」認証は通りませんが、染料プリントでは
今治タオル」として販売されているタオルもあります。

泉州タオルが活躍出来るところ

一般的な泉州タオルは、出来上がるまでの工程が少ないことから、今治タオルより安くできる傾向にあります。そこで、販促用に使われることが多いようです。※作り方で高価になることも有ります。

年末年始によく見かける「名入れタオル」は泉州タオル後晒しタオルが多いです。後晒しタオルは「海外製タオル」が多く出回っており、混同されることもあります。品質はやはり日本製の後晒しタオル 泉州タオルの方が良いようです。

今治産タオル 泉州タオル どちらが良いの?

これは、用途によって違うと思います。

泉州タオル」は綺麗で清潔って宣伝しているのをよく見かけます。
これは最後の工程で生地を綺麗に洗うので清潔って事でしょうが、「今治タオル」も最後に「洗いの工程」を通すことが 現代では一般的です。

一昔前では、製品が安く作れるという事でこの「洗いの工程」を省いて製品として販売している製品もありました。
買ってきてすぐ使用しても、全然水分を吸収しないタオルって有ったのを覚えてませんか?それがこのタオルです。

今ではほとんどの製品はこの工程を通します。
特に染料プリントのタオルは、最後に余分な染料を落とす工程があるので「泉州タオル」と同じように洗います。

このようにどちらが優れているというより、用途によって使い分けるのが良いと思います。

タオルの洗い方 長持ちさせるコツ

はじめに

「泉州産タオル」「今治産タオル」「輸入タオル」どのタオルにも言えることですが、ご購入いただいたタオルはまず洗濯してから使用することをお勧めします。販売され陳列された状態のタオルはホコリ等がついていることが多く、洗ってから使うのが衛生上安心です。また、一度洗う事で糸が膨らみ綿本来の吸水性も回復します。

タオルの洗濯方法

本当のことを言うとたっぷりの水を使ってタオルだけをゆっくり洗うのが、タオルの洗濯には一番適しています。
でも、ご家庭の洗濯機ではそんな面倒なことできませんね。
そこでこれだけは、守ってほしい項目を上げてみました。

ネットの使用

大量に洗濯をすると、タオルが他の洗濯物に絡んでしまいます。
するとタオルの綿糸が擦れ、何度も洗濯すると痩せて薄くなり手触りが悪くなります。そこでタオルに合ったネットを使用することにより絡むのを防ぎます。

柔軟剤は最低限にする

洗濯時には柔軟剤を使用するご家庭は多いと思いますが、実はタオルにとって柔軟剤は厄介なのです。柔軟剤はいわばタオルの表面をコーティングした油のような役目をします。この油のおかげで柔らかくふんわりしたタオルに仕上がりますが、洗濯を繰り返すうちにこの油成分がタオルに付着して硬くなり吸水性が悪くなってきます。←対処法は後述します。
出来るだけ使わない方が良いのです。でも使っちゃいますよね~

漂白剤の使用は酸素系?塩素系?

タオルの漂白には酸素系漂白剤をお勧めします。
色物の多いタオルは色落ちの少ない酸素系の方が適しています。
使用方法をしっかり読んで40℃から50℃程度のお湯につけて洗うのが良いでしょう。お湯の温度が上がると漂白効果が上るので効果を見ながら30分~60分程度付け置きすれば大丈夫です。

洗濯後の干し方

気に入った色のタオルを購入しても色落ちして・・・という話を聞いたことがあります。洗濯をするとき漂白剤入りの洗剤を使用してしまったのが原因という事もありますが、実は干し方によって色落ちすることも有るのです。
タオルは干し方ひとつで長持ちするようになります。

天気のいい日に天日干しが良い?

タオルは良く晴れた日に干すのが気持ちいいものですが、紫外線に弱い色落ちする染料があります。紫外線が一番当たる竿の部分だけが白くなるってことも有ります。これを回避するには陰干しが一番です。風通しの良いところで陰干ししてください。
そして干す前にパンパンって、はたくように伸ばすのがコツです。
これにより洗濯時に寝てしまったパイルを起こし空気をはらむことでふっくら干せます。

乾燥機は使っても良いの?

乾燥機は使わないほうが良いと言う方も居られますが、私は大丈夫派です。
乾燥機は熱で乾燥するので、出来上がりはふわふわの柔らかい肌触りになります。高級ホテルのタオルは乾燥機を使って乾かしています。「タンブラー乾燥」と言ってコインランドリーの大きな業務用乾燥機を使って仕上げています。
なんか清潔な感じがします。

大体、毎日使うタオルにそんな気を使ってられないってのが本音です(笑)

タオルが硬くなった時の対処方法

洗濯時に使う洗剤や柔軟剤が多くの原因で硬くなります。
すすぎが良くできていないときにタオルに洗剤や柔軟剤が残り硬くなる原因にもなります。

柔軟剤は、いわば綿糸の表面に付着して手触りを良くする機能があります。
この油分が何度も洗濯していると蓄積して硬くなります。

これを回避するには、柔軟剤や洗剤を使わない事ってなるのですがそんな事出来ません(笑)
そこで、出来るだけうまく洗濯する方法ですが・・・適量の洗剤と柔軟剤を使い、これらの薬剤が残らないように良くすすぎをするという事になります。

お気に入りのタオルが硬くなってもう一度ふっくら柔らかくなって欲しい時は、一度業務用の乾燥機(コインランドリー)を使うのも良いと思います。

酢や重曹を使うって事を紹介しているページもあります。
私はやったことありませんので解りませんが一度試してみるのも良いかもです。

まとめ

タオルは毎日使うものです。ちょっと気を付けるだけで、柔らかく清潔に長持ちします。今回は今治タオル泉州タオルについて詳しくお伝えしていますが、ライブ会場で販売されているようなオリジナルタオルでも同じようにメンテナンスすることで長持ちします。

特に、ライブ会場などで販売されている色とりどりのタオルは「反応染料」を使って作られていることが多く天日干しは大敵です。色によっては白く色が抜けることもあります。陰干ししてくださいね。

それとパイル部分が引きつれて糸が伸びてしまった場合は、元には戻せないので糸だけハサミで切って整えてください。

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